理学堂 ヒトと人と人間

三次救急病院で理学療法士をしている私が、日々感じている疑問やみなさんにも有用な情報を発信して行きたいと思っています。テーマであるヒトと人と人間に着いてもちょこちょこ更新して行きたいと思います。

地方病院における脊髄損傷者の目標設定について①


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こんにちは(^^)

今日は私の住む地域における脊髄損傷者の目標設定について考えてみます。

今回は頸損者や高位胸損者のAIS:AorBの方についてです。

AIS:AorBとは、完全麻痺or運動完全麻痺ですね。

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Fig:1 認定理学療法士講習会資料より


Fig:1は脊髄損傷の勉強をしているとよく出会うデータです。

これに従えばC6B2が床移乗を除いて自立の可能性が高くADLに関しても自立可能となります。学生の時にもそう習ったのを覚えています。

しかし!Fig:1をそのまま目標にしてしまうのは安易です。

 このデータが取られたのは20年以上前の事です。その当時、現在の疾患別リハビリテーションはなく、リハ期限も今ほど厳しくなかったようです。現在だと、脊髄損傷は脳血管リハに該当するので180日の制限があります。

Fig:1の動作を獲得するには2〜4年の月日が必要です。つまり急性期→回復期リハビリでは獲得が困難という事になります。

脊損センターや国リハなどでは、この期限を超えてリハビリテーションを提供することが出来ますが、これに該当しない地域では目標設定を熟考しなければなりません。

 幸い、私の地域は所沢の国リハが転院圏内なので、若く動作を獲得可能と思われる方は転院依頼をしていますが、年齢や併存疾患などによっては転院を諦めその方に合わせた目標を考えなくてはならない事の方が多いです。


次号で、生活期を経験してみて感じた急性期からの目標設定についてお話ししてみます。