理学堂 ヒトと人と人間

三次救急病院で理学療法士をしている私が、日々感じている疑問やみなさんにも有用な情報を発信して行きたいと思っています。テーマであるヒトと人と人間に着いてもちょこちょこ更新して行きたいと思います。

私の考えるヒトの身体構造的特徴②

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Fig1:生物の進化大図鑑 河出書房新社 2010より 

 

まず、骨格ですが、Fig1がチンパンジーとヒトを比較したものです。構成している骨自体はざっくり同じものがほとんどですが、その形態は結構違いますね。

まず、わかりやすい骨盤から。

骨盤ですが、大きな所ではチンパンジーの骨盤は縦に長くヒトでは、横に広くなっているのが分かるかと思います。

これは、二足歩行に伴いそれまで前肢(上肢)で支えていた上半身の重さを下肢だけで支えることが必要となり大臀筋が大きくなる必要が出たためという事と、これまで腹前壁でハンモックのように支えていた内臓を下から支える必要が出できた為と言われています。

そう考えると、ヒト大臀筋の進化は二足歩行を始めてからという事になり比較的最近になり急に大きくなった筋肉なのだという事がわかります。この極短期で急造された大臀筋ですので、やはり加齢に伴い弱化しやすいのも頷けます。

逆に言えば、ヒトの正常二足歩行には必要不可欠な存在だと再認識できますね。

 

次回は脊柱について。

私の考えるヒトの身体構造的特徴①

ヒト(ホモ・サピエンス)は哺乳類の中では非常に珍しい、日常的に二足歩行を行ういきものです。

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Fig1:生物の進化大図鑑  河出書房新社 2010より

二足歩行の歴史は生物進化から見ると比較的新しい移動様式で、二足歩行を獲得して600万年程と言われています。600万年と言われるととてつもない期間に感じますが、生物の進化からみると非常に短期間なんだそうです。

 

こんな事を考え始めた理由は忘れてしまったが、二足歩行の起源を知る事が動作分析や除痛に役立つのでは?と思ったのがきっかけだった気がします。

 

お年寄りが腰を曲げて歩いている姿勢、よく見るとチンパンジーなどの類人猿が行う二足歩行に良く似ていると思いませんか?

 

二足歩行を始めるまで長い間、四足歩行を行って来た我々の祖先。二足歩行へ移行してからの期間は短く、ヒトはまだ二足歩行へ十分適応しきれていないのでは無いのでしょうか?

大臀筋に代表される加齢に伴い弱化しやすい筋肉は、ヒト以外の類人猿では弱く二足歩行に伴い強化されて来た筋肉が多いです。

 

このように、ヒトとその他類人猿の骨格を比較してみると、二足歩行に必要となる筋肉が浮き上がってきます。

 

ワクワクしてきませんか?笑

続きは次回で。

片麻痺患者様への自主トレ指導②

昨日に引き続き、本日も1つ紹介します。

昨日のものより、更に簡単なものですが麻痺側上肢を非麻痺側で把持し肩の屈伸運動をするのはよく見かけますが、私はこれを屈伸だけでなく、∞(八の字を横広にした感じ)の形に動かしてもらいます。

上下運動だけで、なく横へ広げる事で側腹部筋の活動を促します。

 

∞はまず小さくからで結構です。骨盤を起こした状態で行えるのであればだんだん横への広げていきます。

 

これまた、昨日同様にオリジナルの物なので問題など、感じる方はコメントお願いします^ ^

片麻痺患者様への自主トレ紹介

私の勤める病院では、いわゆる急性期病院で1患者様あたり1日平均1.2単位程度のリハビリ時間となっています。

 

誰でも分かる通り明らかにリハビリの時間が足りません。

当院に限ったことではないですが自主トレが非常に大切になります。

そこで、今回は、私が片麻痺患者様へ行って頂いている自主トレについて

ご紹介します。

まず、第1に寝てないで下さい。ヒトは基本抗重力位で活動する生き物なので、臥位でのトレーニングはあまりオススメしていません。

極力車椅子座位、その上でトレーニングとして頭の上に砂嚢(500g〜2kg)を乗せた状態でアップライトな姿勢保持(3分を数セット)やそこから骨盤前後傾をしてもらったりしています。車椅子にはクッションを敷かないようにしてもらっているので、除圧の指導もしておきます。

これは、ほんとはセラバンドを使って下図

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のように輪っかを作って頭頂とお尻にかけて行いたいのですが、これは片麻痺患者様が自分で行うのが難しいので、砂嚢を乗せることで代償しています。

脊柱に対して軸圧を掛けたいんですね。あとは、骨盤前後傾させて下さいと言っても、骨盤はそのままで脊柱だけで運動しようとする方が多いので、正しい運動が出来ていなければ砂嚢が落ちてしまうようになっています。

 

この、砂嚢を乗せて行う自主トレはいろいろなところで応用出来ると思います。例えば

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上図の場面で頭に砂嚢を乗せましょう。自然とアップライトな姿勢が意識され、脊柱の協調性トレーニングにもなってきます。

 

ちょっとした工夫ですが、結構重宝しているものです。

これらは、自作の方法なので、ご指摘や皆さまの自主トレ方法などもコメント頂けたらありがたいです。

 

 

 

 

バイタルサイン・リハビリ時のリスク管理について本気出して考えてみた④

呼吸における、リスク管理ですね。

呼吸の評価は沢山あり、その場で行うものとしては聴診・触診・視診・打診になります。私の中でこれらはリスク管理という観点からはわざわざ、ここでお伝えするようなものは感じません。

呼吸回数やSPO2が直結してくるかと思います。特にSPO2についてですが、COPDの患者様では結構注意が必要だと思います。臨床ではSPO2とPaO2の解離症例が存在します。これはボーア効果によるものであり、血中二酸化炭素量の増加ともなうpH変化でヘモグロビンの酸素解離曲線が変位するものです

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Fig:1 ウィキペディアより

Fig:1はあくまで、イメージの画像てすがSPO2が高値でも正常よりPaO2が低値である事がわかります。

経験談になりますがこの様な生理学的変化が生じている患者様は、PaO2は低値でもあまり呼吸苦は感じていない様です。

また、この様な方はCO2ナルコーシスにも要注意ですね。ナルコーシスは見たことある方であればわかると思いますが、明らかにぼっーとします。昨日までとは受け答えの速度や表情が変わってくるので結構分かりやすいと思います。本人に聞いてもぼっーとすると言う方が多い気がします。悪化すれば呼吸器管理になるので見逃せませんね。

あと、もし何か身体のなかで変化が生じてくれば最も早く反応が観察出来るのは呼吸数ですね。ただ、この呼吸数はNsの急変対応時のバイタルチェックでも1番見落とされやすいそうです。

 

会話しながらリハビリをしていれば、呼吸に関しての異変は比較的すぐ気づけると思います。

番外編 ワンオクのライブに行った心不全患者様が・・・

私が、心臓リハビリ外来で担当している陳旧性心筋梗塞心不全の患者様(50台 男性)が先日、息子を連れて「本物のROCKを見せてやりたい!」と言ってワンオクのライブに行ったのですが、興奮し過ぎてそのままライブ会場近くの病院に心不全で入院したとの事でした。

 

正直、予測外でした。ライブに行く事は事前に聞いていて、電車で行くという事や徒歩移動が多いことは想定していたので、極力エレベーターの利用(地元に比べ圧倒的に駅内の階段が多い)する事と、余裕を持ったスケジュール管理などお話ししていましたが、根っからのROCK好きなこの方は久々のライブで興奮、息子よりデカイ声を出しノリノリだったそうです。

いつも通りのハンサム療法(hanp +サムスカ)で改善して帰ってきました。

 

感想を聞くと、「久しぶりにROCKしてきたよ〜また行きたいな〜」との事でした。

ライブにおける心負荷は想定していませんでした。

皆さんの患者様にもライブに行きたいという方がいればよくお話しした上で対策をしてみて下さい。

バイタルサイン・リハビリ時のリスク管理について本気出して考えてみた③

 

次は体温についてです。

意外とはっきりしない所がある気がします。ガイドラインでは、38度以上、その他の清書でも38度以上が積極的リハビリを実施しない基準になっているものがほとんどですね。

 

では、なんで38度なのでしょう。その理由はあまり明確には記載されていませんね。

基本的には体温の上昇=体内での強い炎症反応が生じている状態(中枢性発熱のどは除きます)。この状態については心拍数についてです述べましたね。

後は、全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)などの急な治療を要する疾患の診断基準に38度以上の発熱が含まれるからです。

 逆に言ってしまえば、原因のはっきりした発熱であれば積極的介入の対象になると思います。例えば、肺炎への呼吸理学療法介入などが該当すると思います。

 ただ、38度出てたら、基本的にダルいですから動きたくないですよねー(*´-`)私であれば断ります。笑

 

次回は呼吸についてお話しします。